注:人のサディクさんと猫のサディクさんがいて、菊さんは猫です。
私、馬鹿みたいです…サディクさんに喜んでもらえるようにサディクさんのつがいになりたいって思って…気持ちよくなってもらおうって…なのに、サディクさんとヘラクレスさんは小さい時から恋人同士だっただなんて~
うわーんと今度こそ本格的に泣いた菊の背をサディクは前足で器用にぽんぽんたたいた。
あと耳としっぽを隠せればちゃんと化けられたのにっあんまりです~。
は?化けられんのかい?
出来ます、まだ完璧じゃないですけど
ってお前猫又か!?
そのおっぽ、鉤になってんじゃねえんかい!?
違いますよっ!ちゃんと2本あるんですからっ
ほらっ猫又ですよっとサディクに尻をむけてピコピコと短い2本の尾を主張する。サディクは、前足でちょいちょいとつつきしげしげ見つめたあと、へーと頷いた。
お前さん小せえのに俺よりじいさんかい、道理でちびっこいってのに気になると思ったぜ。
へ?
俺ぁ大物喰いでな。
サディクがにんまり笑う。
猫又は好物も好物、大好物よ。
ええええっ
安心しな、天国に行かせてやっからよ。
え、遠慮しますっ
菊が慌ててきびすを返すが、サディクは菊の首に噛みつき押さえ込んだ。
菊はガタガタと震えて地に伏せた。いくら長生きしてもこれは本能だ、そもそも菊は去勢されていらい喧嘩なぞしたことがないのだから百戦錬磨で現役ボス猫のサディクにはかなうわけもない。
幸いお前さん、メス役慣れてるみてぇだしな。楽しもうや、お互い。
え。
サディクが菊の背は前足で押さえながらも口を離し、菊の耳の内側に舌を差し入れた。
にゃ…あん。
ぞくぞくと駆け抜けた、久しぶりの快感。
文字通りの歯で肉を裂かれ食べられると思っていた菊はサディクの意図を知り体の緊張を解いた。