サディクは、にぃと歯ぐきまで見せて笑った。
久々の猫又、しかも去勢済のメス役経験有だ。
この秋の情動は遅かった分久々に激しく、この辺りの数少ないメス達を相手にしたのでは子猫の数にきりがなくなりそうでウンザリしていたところだ。去勢済みの雄猫たちも、メス役の経験のない箱入りばかりで役にたたない。
猫又なら体力はあるだろうし、慣れてもいるだろうからそれなりに良い思いが出来ると考えた。
こっちの精力を吸うとも噂されるが吸い取り情動を抑えてくれんならありがたい。今まで相手にした猫又はメスばかりで時折くるサディクの激しい劣情を全部吸い取ってくれたものだ。彼女らにとっても自分はなかなか重宝する飯だったらしい。
初めてが猫又相手だった為か、たまたまの体質かサディクの発情期は少ない分激しい。
ただの猫では荷が重い。
まったくいいとこに来たぜ。
サディクも大概長生きな方だから、もうこないと思っていた発情期がきてくれて本気で困っていたのだ。
菊はもう腰をふっている、猫又はあまり発情期に囚われないらしいがそのかわりに刺激されればいつでも発情する、しばらく楽しませてもらおう。黒い艶やかな毛並みは、実はサディクの好みのツボなのだ。
あげる声はやや低いが、かすれ方が腰にくる。怯えていた目はすっかり潤んでサディクを誘う。
人間にやるにゃ勿体ねえ、とサディクは菊の鼻先を舐め腰を菊の足の間に押し付けた。
菊は見上げて、か細くないている。
熱くそそり立って収まらないそれを差し込まれ、圧倒されているのか喉をそらせて細く息をする。喉に柔らかく歯をたてれば毛先まで熱を帯びているように感じる。細い息にねだるようなミァという甘い声がまじらせ、自分の首を甘くなぶるサディクに頭を寄せる。
持て余していた菊の静かな発情は、会ったばかりのサディクに慰められた。ひとではなく、猫に。やはりそれが自然なのだ、と菊は頭の奥で納得する。
人間とつがうだなんて所詮はただの夢なのだ、腰を振りサディクの精を受けながら快感と充足感に恍惚となりながら、自分はやはり愚かな獣なのだと実感し、安堵した。
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