昏々と眠りをむさぼりたい
春を待つ土の下の獣のように
けれど何も待ってはいない
ただ眠りたいのだ そう
あなたの熱にくるまれて眠りたい
母の腕で眠る幼子のように
幼子にとってその場所が至福であるかのように
確かにあなたの腕は私にとって至福であるかに思えるのです
だからどうか
そんな風に優しい顔で両手を広げて私を誘惑しないで
あなたの手を取りたい衝動を必死に堪えているのに
一度知った安らぎに抗うことはとてもとても難しいのです
どうかどうか
そんな風に甘い声で両手を広げて私を誘惑しないで
あなたの胸にまっすぐ飛び込んでいけたら
そんな至福の夢に溺れたいと願ってしまうのです
私はまだ 今まで生きた時間よりもっとずっと
ここに 在らねばならぬのに
あなたの 胸で
あなたの 内で
永遠に眠りたいと思ってしまう
あなたという存在が
私はとても恋しくて
そしてとても恐ろしい
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