わりとなんでも食べますよ?
嬉しそうに笑うあの人に食われたいと思った。
俺の血肉なにもかも全部あの人のもんになりゃいい。
あの人を独占することができないと知っているから。
ならばせめてと考える、らしくもなく後ろ向きだ。
だけどなぁ、仕方ねえだろう。
あんなでっかい綺麗なお日さんを、閉じ込めるなんざできゃしねえ。
例え国土全部を焼き払っても切り刻まれても吹き飛ばされても、あの人のド真ん中にある魂は消えねえ。
まっしろでもまっくろでも何にも染まらないだけど何もかも受け入れる透明な光。
夜の海から恐怖と毒気を抜いて俺を救い上げたあの熱源。
どんだけ歪んでも痛んでも嘆いても、いつのまにか歩き出すのだあの人は。
誰かのために、そう自分の中にある命のために。
その象徴たる花は、咲いては散り、また咲いて。
その手に守る花は、季節の終わりに咲く花で、命の眠りを見届ける花で。
ああ命の終わりと始まりを体現するひとよ。
愛しい愛しい、太陽のひと。
お前さんのように優しい太陽を、俺は知らねぇ。
焼け付く日差しでなく、命育むお日さんよ。
あんたが育む命ではなく、あんたを生かす命そのものに、俺はなりてえ。
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