熱い
打ち込まれた部分からジクジクと痛みの触手を伸ばされている錯覚
続けてもう一撃
冷徹な顔をして、銃を構える若者
ああ確かに銃ならばあなたの手が血に染まらずにすみますものね
世界の英雄たろうとして力という正義の下、それでも血に染むのを厭う若き勇者よ
あなたの兄はもっと潔かったですよ
欧州の雄たちは、血に染む事を嘆いても逃げたりはしなかった。
勝たなければ、そのために存在すると数々の戦歴を当然だ笑い飛ばした彼が脳裏に浮かんだ。
銀の神は尊き神の降りた印
赤い目は怒れる戦神のそれ
我々は彼を師と仰いだ。
子供のように迷いなく、求めるものへ一途な彼。
眩しくて、だからこそ焼きついたその言葉
「勝つ為の道だけ見てろ」
敵の何が弱点で何が強みで自分が何をすべきか、勝ちたいなら考えて見つけろと。
それはつまり生きる為の道だと。
生きろと彼は言った。
生きてりゃ勝てる、お前ならな。
そう言ってクシャクシャに私の髪を撫でて…
ガチャと銃を頭につきつけられる。
ああ、アルフレッドさん無粋なひと、人の回想を邪魔しないでくださいよ。
だけど、おかげで見えたものがある。
キク?
じれた声に微笑めば彼はギクリと、肩を震わせた。
まあ、ひきつった笑顔なってるのはわかりますがそんなに驚くことないじゃありませんか。
「あなたに、従いましょう」
アルフレッドが息を飲んで、次の瞬間嗚咽をあげて自分を抱きしめた。
そして私は確信する、道はこの子の先にあると。
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