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東と西に離れ座すふたり。嗚呼どうか、世界が平和でありますように。
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除夜の鐘 年を明けての108つめの鐘がなりました。
雪のせいでしょうか外はシンとしてとても静かです。
キュンと鳴くぽちくんに新年のご挨拶をして、お雑煮を食べようかそれともひと眠りしてしまおうか、少し悩みます。

トルコさんのおうちの新年まであと7時間、新年一番にトルコさんのお声を聞けたら…なんて考えているのですが、この時間ですとトルコさんもお忙しいでしょうか。
あちらが大晦日なのに、明けましてと挨拶するのも変ですよね。

さてどうしましょうかとこたつの中でまどろみながら考えていると、ジリリリリンと黒電話が鳴りました。
仕事部屋ではなく自宅の廊下にある、たまにご近所さんから連絡がくるくらいで滅多に使わぬ本田さん用の電話です。
大きな音なので、ご近所迷惑になるのではというかご近所で何かありましたかね?と慌てて電話に出れば、聞きなれた声聞きたかった声。

『日本かい? Yeni yiliniz kutlu olsun!』
「あ、はい、トルコさん、明けましておめでとうございます」
『おう、ちっと早いけどお前んとこはもう新年だろい?』
「ええ、少し前に明けまして…」

電話の向こう側では異国の大きな声が飛び交うにぎやかな気配が伝わってくる。

『そっちは誰か来てんのかい?』
「いえ、今年はどなたもお忙しいようで、ぽちくんとふたりですよ」
『おう、そうか! よし、じゃぁまた電話するぜ!』

子供のようなはしゃぐ声に、日本は頬が熱を持つのを感じた。

「あ、あのトルコさん!」
『おう?』
「あ、ありがとうございます。その、お電話を…いただけて嬉しいです」
『Bir sey degil 、どういたしましてだ…なぁ日本?』
「はい 」
『俺の頭の中にはいつもあんたがいる、んでよ、こういう時はあんたの声が聞きたくてたまんねえし俺の声を届けたくてたまらねえ。あんたもそうだったらいいなと、思ってる』
「わ、たしもです。私も、あなたの声が聞きたかった」

そう、出来れば誰より一番に。

『そうかい』
「はい、そうです」

そして、貴方は叶えてくれた。

『あんたやっぱり最高だ、たまんねえ。Basimin tatli belasi 日本。また新しい年にな』

ちゅっと音が響いて電話は切れた。

廊下は寒く吐息は白い。
だけど、胸の中はたまらなく熱かった。

ねえ、トルコさん、それはもしかして
貴方の一番初めに聞く声は、私がいいということですか?
お電話してもいいのですか?

108つめの鐘が鳴り電話が鳴って、届いたのは貴方の声。

ああ、もうきっと朝まで眠れない。


こんなにも私の心をざわめかせる貴方こそ、誰より甘い私の災い。




* * * * * * * * * * * * * * * * * *
トルコ語解説(発音はちょっとあやしいぞ!)
    Bir sey degil :ビルシェイディール:どういたしまして
    Basimin tatli belasi :バシムンタトゥルベラース:私の甘い災い

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装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、物語がはじまる。

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